工事の進捗vol.23

2026.11.01

鐘楼・鼓楼の修復

 築地本願寺を正面に見て、向かって左の北翼屋上に鐘楼、右の南翼屋上に鼓楼があります。鐘楼は文字どおり梵鐘を備える施設で、鼓楼は太鼓を置き、その音によって時刻や行事などを知らせるための施設を意味します。当寺では、機能はそのままに、本堂と鐘楼・鼓楼が左右対称に一体化しています。また外観はストゥーパ(仏塔)形の塔で、設計者・伊東忠太博士が志向した古代インド様式の特色が表れております。

梵鐘より窓を臨む
梵鐘より窓を臨む

型取りしています
型取りしています

 鐘楼・鼓楼の外側を彩る花弁装飾は、調査工事で構造を確認し、復元制作のために状態のよい部分から花弁の型を取り、無事修復されました。創建当初も一枚一枚制作したものを取り付けていたことが確認され、花弁の接合部が漏水の原因のひとつとなっていたことから、全体に防水塗膜も施しております。

 鐘楼は、梵鐘の音を響かせるためか窓にガラスが入っておりません。そのため風雨の吹き付けの影響が大きく、修復にあたっては、内側の壁の漆喰を全面的にかき落とした上で塗り直して着色が施されました。窓枠は腐食が激しいため新たに制作、窓の桟は創建当初のものを塗り直して再使用しています。このように、それぞれ最低限の修復にとどめながら、最新の技術で慎重に作業を進めました。
 また鐘楼の梵鐘は、創建当初は電動であったことが設計図からもわかっております。鐘楼に上ることなく鐘を撞くという、今でも画期的なシステムを採用しながら、断線により故障し、現在は撞木で朝六時半に撞かれて、築地近辺の皆さまに朝をお知らせしております。

意外と小さい聞法ホール裏のスイッチ
意外と小さい聞法ホール裏のスイッチ

〈鼓楼にガラスがはまっているのは
当初から太鼓が設置されておらず
音を響かせる必要がなかったから?
鼓楼にガラスがはまっているのは
当初から太鼓が設置されておらず
音を響かせる必要がなかったから?

 一方、鼓楼については写真も記録も残っておらず、本当に太鼓が設置されていたのかすらわかっておりません。設置されていたとしたら台座に設置していたのか、吊り下げる形であったのか。実際に太鼓の音を聞いたことがある、など、もしご記憶の方がいらっしゃいましたら、ぜひお知らせください。
 これから百年、二百年と、築地の皆さまに梵鐘の音をお届けできますよう工事を進めております。